概要インドネシアのハサヌディン大学の研究チームが、緑藻(りょくそう)の一種であるクビレズタ(Caulerpa racemose)から抽出したナノセルロースが、持続可能な天然保湿剤として高い可能性を持つことを発見した。スキンケア市場で高まる安全な天然由来成分への需要に応えるもので、従来の合成保湿剤に代わる、より安全で効果的な選択肢として期待される。この研究成果は、2025年5月8日に学術誌「International Journal of Biological Macromolecules」で発表された。海藻が拓く新たなスキンケア©Unsplashスキンケア製品に不可欠な保湿剤は、従来グリセロールやヒアルロン酸といった合成成分が主流であったが、近年では生分解性や安全性の高い天然成分への関心が高まっている。そこで、ハサヌディン大学のインダ・ラヤ教授が率いる研究チームは、インドネシアで豊富に採取できるクビレズタに着目した。チームは南スラウェシ州のタカラル養殖村で収集した海藻からナノセルロースを抽出し、その構造や水分保持能力を分析した。その結果、このナノセルロースは水分を効率的に結合し、ナノスケール構造によって皮膚への浸透性が高いことが判明した。従来の保湿剤と比較して水分をより長時間保持でき、刺激のリスクが低く皮膚適合性も高いことが示された。持続可能な社会への貢献©Unsplash海藻由来ナノセルロースは、保湿剤、フェイスマスク、ボディローション、アンチエイジング製品など、多様なスキンケア製品への応用が見込まれる。生分解性で再生可能なため環境に優しく、インドネシアの豊富な海洋資源を持続的に活用する「ブルーエコノミー」の概念を後押しする。さらに、この研究は海洋保全と持続可能な開発を目指す国連の持続可能な開発目標(SDGs)14「海の豊かさを守ろう」にも貢献するものである。ラヤ氏は、このような研究が海洋生態系保全の重要性と、それを活用して調和を保つ方法を浮き彫りにすると述べており、今後のさらなる研究が期待される。ローカルメモインドネシアの豊富な海洋資源である海藻に、化粧品原料としての新たな価値を見出した興味深い研究だ。世界的にサステイナブルな天然由来成分への需要が高まる中、この発見は大きなビジネスチャンスに繋がる可能性がある。特に自国の資源を活用し、経済発展と環境保全の両立を目指す「ブルーエコノミー」という視点は、他の国や地域にとっても参考になるだろう。食用のイメージが強い海藻がスキンケアという新たな分野でどのように活用されていくのか、今後の製品開発に注目したい。参考URLPR Newswire記事https://www.prnewswire.com/news-releases/hasanuddin-university-study-explores-potential-of-nanocellulose-from-caulerpa-racemosa-as-a-natural-humectant-302668504.htmlTOP Image©︎Unsplash