タイで「Cat Economy(猫経済)」が急速に拡大しているという。マーケティングメディアMarketing Oops!が2026年4月に公開した分析記事によると、タイ国内の飼い猫数はカシコン銀行系シンクタンクKResearch(カシコン・リサーチ・センター)のデータで2021〜2024年の間に年平均28%増加し、犬の19%増を大きく上回ったとのこと。ペット用品大手Mars Petcare(マーズ ペットケア)は現在、タイの飼い猫数を700〜800万頭と推計するとされる。飼い主の「家族の一員」意識の高まりを背景に、キャットフードやキャットカフェなどのビジネス需要も急増。創業60年超のキャットフードブランドWHISKAS®(ウィスカス)は、猫の栄養知識普及を軸とした教育型マーケティング戦略で攻勢を強めているという。「猫経済」を生む飼育文化の変化と市場規模©︎Unsplashタイでは「ペトリアーキー(Petriarchy)」と呼ばれる"犬猫の奴隷"的献身文化が定着し、ペット産業全体が大きな経済圏を形成しているとされる。KResearchによると、タイのペットフード市場は2025年に460億バーツ超(約1,978億円)(前年比約12%成長)に達したという。猫用フードカテゴリーはその主要な成長ドライバーとなっている。意識調査「Mars Global Pet Parents Survey」(2024年9月実施)では、30%以上のタイのペットオーナーが「ペットは人生で最も大切な存在」と回答したとのこと。特にタイのZ世代やミレニアル世代の若い世代ほど猫を家族と捉える傾向が強いとされる。 猫の飼育費用も急増しており、ttb analytics(TTBアナリティクス)の試算では"家族"として扱う場合の年間費用が1頭あたり約50,500バーツ(約21万7,150円)(前年比22.9%増)に達し、放し飼いスタイルの平均約7,910バーツ(約3万4,013円)の実に6倍にのぼるという。猫経済はキャットフードにとどまらず、キャットカフェやホテル、おもちゃ・用品市場にまで拡大しており、複合的なビジネス機会を生み出しているとされる。ウィスカスの教育マーケティング戦略と「Lucky Cat」キャンペーン©︎Unsplash猫経済の成長に合わせ、Mars Petcare(マーズ ペットケア)傘下のキャットフードブランドWHISKAS®(ウィスカス)は「教育型マーケティング」を主軸に置いた戦略を展開中だという。同社が実施した「WHISKAS® Purr Study」(2026年3月・タイ国内2,000名以上対象)では、多くの飼い主が猫に手料理を与えることを「健康的」と信じているという実態が明らかになったとのこと。しかし人間と猫では必要な栄養素の構成が大きく異なるため、猫専用に設計されたフードが不可欠だと同ブランドは訴求する。60年以上の実績を持つブランドとしての専門性と信頼性を前面に打ち出し、飼い主の栄養知識向上が市場拡大を牽引するという見立てだとされる。 2026年4月3〜4日にはバンコク中心部のサイアムスクエアに高さ10メートルの「Lucky Cat」彫刻を世界初公開(タイ先行)するキャンペーンを実施したという。「健康な猫こそ幸運な猫」というメッセージのもと、人気俳優を起用してタイのZ世代やミレニアル世代へのブランドエンゲージメントを強化したとのこと。Mars Petcare(マーズ ペットケア)はタイ国内にパークチョン工場とチョンブリ工場(APAC Pet Center・研究開発拠点を含む)の2拠点を持ち、40以上の市場向けに製品を輸出しているとされる。ローカルメモタイでは都市化と少子化を背景に、猫を"子ども代わり"に育てる「ペットペアレンツ」世代が急増している。特に一人暮らしのZ世代やミレニアル世代が集合住宅でも飼いやすい猫を選ぶ傾向が強く、SNSでの猫コンテンツ拡散がさらなる飼育需要を生む好循環が成立している。食品・飲料メーカーにとってもペットフード市場への参入・拡張は魅力的な選択肢となりつつあり、栄養訴求・プレミアム化・ブランドストーリーの三位一体が成長の鍵となりそうだ。参考URLMarketing Oops!記事https://www.marketingoops.com/reports/behaviors/cat-economy-trend/TOP Image©Unsplash