中東情勢の長期化によりタイの小売燃料価格が1リットルあたり6バーツ(約20%)上昇した。これを受け、即席麺「MAMA(ママ)」を製造するThai President Foods PCL(タイ・プレジデント・フーズ)や、コカ・コーラのボトラー企業Haad Thip PCL(ハードティップ)など大手消費財メーカーが、少なくとも3ヶ月間は消費者への価格転嫁を行わないと表明した。各社はコスト増を自社で吸収する方針を示したが、中小企業(SME)には同様の対応が難しい状況で、価格転嫁や供給不足が懸念されている。各社の戦略的コスト吸収策と背景©Unsplashタイ・プレジデント・フーズのプン・パニアンワイット社長は、小麦粉とパーム油の戦略的備蓄が少なくとも9月までの緩衝材になるとした上で、「今後3ヶ月間はコスト増を自社で吸収できる」と説明した。ただし、プラスチック包材のコストは依然として不確定要素であり、価格規制品である即席麺の値上げには商務省内国取引局との交渉が必要となる。 コカ・コーラの南部ボトラー、ハードティップのパッチャラ・ラッタクル最高経営責任者は、グローバルな「戦略的調達(Strategic Sourcing)」を活用して原料コストを管理している。同社は石油価格とプラスチック樹脂価格の連動リスクを認識しつつも、値上げすれば販売数量が減少するとして、現状維持を選択している。犬猫用ペットフードの世界的メーカーRoyal Canin(ロイヤルカナン タイランド)では、中東情勢による迂回ルートの影響で船便の納期が60日に延長されたが、グローバル契約により約6ヶ月分のコストを固定済みだ。「シュリンクフレーション」と中小企業への影響©Unsplash大手各社が価格を据え置く一方、市場では「シュリンクフレーション(価格は変えずに内容量を減らす手法)」への懸念が高まっている。SNS上では消費者が製造日ごとの内容量の変化を比較・報告する動きも出ている。さらに、石化製品の供給率が100%から70%に低下するなか、グローバルな調達力を持たない中小メーカーは、コスト転嫁か供給停止かという厳しい選択を迫られる可能性がある。ローカルメモタイでは「ママ」ブランドの即席麺が国民食として広く浸透しており、価格変動は消費者の生活感度に直結する。コンビニやスーパーで1袋数十円台から買える即席麺の値上げは、家計への影響が大きく政治的にも敏感だ。タイ政府は価格規制品に関して企業との協議を義務づけており、大企業といえども自由に値上げできない構造がある。一方でシュリンクフレーションは規制対象外のため、今後この手法がじわじわ広がる可能性は否定できない。参考URLNation Thailand記事https://www.nationthailand.com/business/economy/40064431TOP Image©Unsplash