概要ベトナムのカシューナッツ業界団体「ビナカス(Vinacas)」は2026年3月13日、ホーチミン市で開催した年次会議において、2026年のカシューナッツ輸出量を約80万トン、輸出額50億ドル(約7,800億円)とする目標を発表した。同目標は2025年に初めて達成した過去最高記録と同水準である。ビナカスのファム・バン・コン会長は、東欧・中東の地政学的紛争による輸送ルートの混乱や、国際取引をめぐる契約・決済トラブルの急増を主要リスクとして挙げた。また、原料カシューナッツ価格が1トン約2,000ドル(約318,000円)まで急騰しており、加工企業の経営を圧迫している。地政学リスクと取引トラブルが輸出環境を複雑化©︎Unsplash中東地域はカシューナッツカーネルの世界需要の10〜12%を占める重要市場であり、地域の不安定化が続けばベトナムからの輸出が直接的な打撃を受ける懸念がある。ビナカスは各企業に対し、輸出契約の締結に際してCIF(運賃・保険料込み)またはCNF(運賃込み)条件を優先し、決済リスクを最小化するよう勧告した。コン会長は「2026年は決済問題がいっそう深刻化する。他の決済方式を利用すれば財務損失のリスクが非常に高くなる」と警告している。 さらに、アフリカ諸国が自国内でのカシューナッツ加工投資を拡大しており、ベトナムの競争優位が徐々に揺らぎつつある。ビナカスは業界全体として戦略の刷新と高付加価値化を急ぐべきだと強調した。原料価格の急騰と「パニック買い」が加工企業を直撃©︎Unsplash旧正月(テト)前後に原料カシューナッツの市場価格が1トン約2,000ドルまで跳ね上がり、加工企業の間で不安が広がっている。ハンフィメックス・グループ(Hanfimex Group Vietnam JSC)のフン・バン・サムCEOは、「原料不足と人員削減を恐れた企業が競って先買いに走り、需要が集中したことで価格が押し上げられた」と分析する。この「パニック買い」が価格高騰の主因であり、生産コストの管理が2026年の収益を左右する重要課題となっている。ローカルメモベトナムはカシューナッツの加工・輸出で長年世界トップクラスの地位を維持してきた。国内では加工業者が零細〜中規模に分散しており、原料価格の急変動に対する耐性が低い。現場では「テト前の買い付け競争」が毎年恒例となっており、業者間の情報格差が価格の乱高下を招く構造的な問題だ。今後、アフリカ産との競合が本格化するなかで、ブランド価値の向上と高付加価値製品へのシフトが生き残りのカギを握ると見られる。参考URLVnEconomy記事https://en.vneconomy.vn/vietnams-cashew-industry-eyes-5-bln-export-target-by-2026-amid-market-risks.htm