ベトナム最大手乳業メーカーのVinamilk(ビナミルク、ホーチミン証券取引所:VNM)は、原材料費・物流コストの上昇を受け、製品価格を約2〜3%引き上げる方針を明らかにしたという。証券会社Vietcap Securities(ヴィエットキャップ・セキュリティーズ)がアナリスト向けミーティングを経て発表した。同社は消費者需要への悪影響を避けるため慎重な段階的実施を想定しているとされる。ベトナムのFMCG(日用消費財)市場は家計の支出動向に敏感であり、2026年第1四半期の売上高は前年比24.6%増の16兆1,500億ベトナムドン(約975億円)、純利益は同55%増の2兆4,600億ベトナムドン(約148億円)と好調な実績を背景に、値上げと需要維持の両立を模索しているとのことだ。国内外の成長を支えた流通戦略と海外需要©︎UnsplashVinamilkは2025年初頭から流通ネットワークの再構築に着手しており、国内売上高は前年比20.4%増の12兆800億ベトナムドン(約730億円)と牽引役になったとされる。市場浸透率の向上と業務効率化を狙った流通・小売戦略の刷新が奏功した形だ。同社はまた、ベトナム政府が実施した個人所得税の扶養控除基準引き上げにより消費者の可処分所得が推定2〜3%押し上げられると分析しており、食品・日用品需要の底上げ効果を期待しているという。海外売上高は同39.1%増の4兆700億ベトナムドン(約246億円)に達したという。中東地域の地政学的緊張については、輸出注文の大半が紛争激化前に完了していたため、第1四半期の業績への影響は限定的だったとしている。価格感応度が高い市場での値上げの難しさ©︎UnsplashベトナムのFMCG市場では消費者の価格感応度が高く、乳製品は特に一般家庭の購買判断に直結しやすいとされる。Vinamilkが「慎重な値上げ」を強調するのは、競合他社との価格競争が激化するなかで市場シェアを維持しながらコスト増加を転嫁するという難題への対応だという。税制改正による可処分所得増加が需要下支えの緩衝材になるか、今後のベトナムの消費動向が注目されるとのことだ。ローカルメモVinamilkはベトナムで「国民的乳業ブランド」として圧倒的な知名度を持つ。学校給食向け牛乳や乳幼児向け粉ミルクなど幅広い製品が家庭に浸透しており、価格変動への消費者の目は非常に厳しい。今回の2〜3%という控えめな値上げ幅は、競合の台頭や輸入品との競争を意識した現実的な判断といえる。税制改正による可処分所得増という追い風を丁寧に活かしながら、ブランドへの信頼を損なわずに収益を守る──そのバランス感覚こそが、ベトナム市場で長年トップを走り続けてきた同社の真骨頂だ。参考URLThe Investor記事https://theinvestor.vn/vietnamese-dairy-giant-vinamilk-plans-cautious-price-hikes-as-input-costs-rise-d19054.htmlTOP Image©The Investor