アジア各国でSNSによる食の不信感や食品安全への関心の高まりを背景に、食肉企業および各国政府が認証制度の活用で消費者の信頼獲得を急いでいる。ベトナムでは政府による食肉企業への立ち入り検査が強化され、スリランカのPussalla Meat Producers(プサラ・ミート・プロデューサーズ)は微生物検査ラボでISO 17025認定を取得。インド・タイ・インドネシア・フィリピンも食肉サプライチェーンの近代化に乗り出しており、アジア全体で「規制なき食肉生産」の時代が終わりに近づいている。消費者からは食品安全認証や原産地情報の開示を求める声が高まっており、認証取得はいまや市場参入の必須条件となりつつある。アジアで急速に進む食肉サプライチェーン規制の波©︎Unsplash長らく中小零細事業者が主役だったアジアの食肉サプライチェーンは、今まさに大きな転換期を迎えている。ベトナムでは動物疾病管理・と畜衛生に関する法規制の強化が進み、大手外資系生産者を中心にコンプライアンス対応が加速。政府は衛生管理しやすい集中型と畜システムの普及も推進している。タイは輸出志向の安全基準を整備し、インドネシアとフィリピンでは非公式なと畜部門の近代化とコールドチェーンの整備が急ピッチで進む。インドも政府主導で伝統的なウェットマーケットから規制された食肉処理施設・小売への移行を促している。輸出事業者にとって認証は「あれば便利」なものから「なければ参入できない」必須ツールへと変わり、国際規制との整合や通関検査の削減、食品安全の共通言語として機能するようになっている。消費者の認証ニーズ拡大——認証投資は実際に報われるのか©︎UnsplashNielsen(ニールセン)やKantar(カンター)、FIA(フード・インダストリー・アジア)の調査によれば、中国・ベトナム・タイなど主要市場の都市部消費者の70%以上が食肉・乳製品購入時に安全認証や原産国をラベルで確認している。China Meat Association(中国肉類協会)の2023年調査では、都市部消費者の85%が有機・グリーンフード・非GMO等の認証ラベルを「重要」または「非常に重要」と回答し、QRコードによるトレーサビリティが主要な訴求ポイントになっている。一方、ISO認証はあくまで「仕組みが存在すること」を証明するに過ぎず、100%の安全を保証するものではない。認証の実効性は導入の厳格さと企業文化に依存する点も忘れてはならない。ローカルメモアジアの食肉産業は長年、規制の「グレーゾーン」で成長してきた。スリランカ在住の筆者(コロンボ在住のZahrah氏)からすると、この変化は切実だろう。スリランカでもプサラ・ミート・プロデューサーズがISO認定ラボを取得するなど先進事例が生まれている一方、大多数の中小業者にとって認証コストは依然として高い壁である。消費者の意識は確実に変わっているが、規制と現場のギャップはまだ大きい。食の安全を「当たり前」にするには、政府の規制強化だけでなく、業界全体での底上げ支援が欠かせない。参考URLAsian Agribiz記事https://www.asian-agribiz.com/2026/03/30/the-regulatory-screws-are-tightening-around-meat-can-you-afford-the-price/TOP Image©Unsplash