インドネシア食品医薬品庁(BPOM)が、地元の植物資源を活用した製品開発を後押しする新制度「BRIDGE」を始動した。目的は、国内の中小零細企業(MSME)が手がける伝統薬の品質を高め、輸出に耐える製品へと育てることだ。背景には、医薬品・食品分野が2023年に同国GDPの8.3%を占めたという事実がある。BPOM長官のTaruna Ikrar(タルナ・イクラル)氏は「紅参(高麗人参)といえば韓国、寿司といえば日本を思い浮かべる。いつかジャムウといえばインドネシア、と思ってもらいたい」と語ったという。狙う市場は国内だけでなく世界だとされる。研究と企業をつなぐ「橋」©︎Unsplashジャムウ(Jamu)は8世紀から続くインドネシアの伝統的な薬草療法で、2023年にユネスコの無形文化遺産に登録された。インドネシアには約3.1万種の植物が自生し、その多くが伝統薬の原料となってきたとされる。一方、現地の薬草分野には約420万のMSMEが存在するが、資金難から分析機器や研究へのアクセスが乏しいという課題を抱える。そこで同庁は、研究者と企業を結ぶ「BRIDGE」を立ち上げたという。研究室の成果と産業界のニーズの間にある溝を埋め、商品化が頓挫しがちな研究を市場価値ある製品へとつなぐ狙いだとされる。GPジャムウなど8つの業界団体も支援に加わるという。同制度を通じ、ジャムウから標準化生薬、さらに植物性医薬品へと進む科学的な道筋を整えるとされる。輸出を見据えた品質の壁©︎UnsplashBPOMによると、MSMEは同国GDPの60.51%、雇用の97%を占めるという。だが登録済みのMSMEは約6万社にとどまり、国家目標の170万社には遠いとされる。多くが伝統薬の製造管理基準の初期段階で足踏みし、小規模事業に従事する薬学人材も不足するという。BPOMは活性成分をまとめた参考書「PUSAKA」を整備し、登録時の研究負担とコストの軽減を図るという。ローカルメモジャムウはインドネシアの日常に深く根づいた飲み物だ。市場や路地では「ジャムウ・ゲンドン」と呼ばれる売り子が、籠を背負って手作りの薬草ドリンクを売り歩く光景が今も残る。ウコンとタマリンドを使った「クニ・アサム」は、家庭でも親しまれる定番の味だ。近年は若者向けにおしゃれなカフェでも提供され、伝統と流行が交わる。国がこの文化遺産を世界へ売り出そうとする背景には、誇りと経済成長への期待の両方があるのだろう。参考URLNutraIngredients記事https://www.nutraingredients.com/Article/2026/06/23/indonesian-fda-launches-initiative-to-help-local-herbal-firms-in-npd-export/TOP Image©iStock