2026年第1四半期、ベトナムのオンライン小売市場が急拡大した。Shopee(ショッピー)、TikTok Shop(ティックトックショップ)、Lazada(ラザダ)、Tiki(ティキ)の4大プラットフォーム合計のGMV(流通総額)は約148兆6,000億ドン(約8,460億円)に達し、前年同期比47%増となった。分析会社Metric(メトリック)のデータによるもので、取引件数も同20%増の11億4,000万件を記録。消費者は1日あたり平均約1兆7,000億ドン(約95億円)を費やし、毎日約1,300万点の商品が購入された計算だ。伝統的な小売の約11%増を大きく上回り、ECが消費の主戦場となっていることが鮮明になった。美容・ファッションが急成長、規制強化で健康商品は失速©︎Unsplashカテゴリ別では美容・コスメが約24兆4,000億ドン(約1,388億円)でトップを占め、続いてレディースファッション、ホーム&リビングが上位に並んだ。とりわけ注目されるのがメンズファッションで、前年比150%超という驚異的な伸びを記録した。一方、健康関連商品は売上・販売数量ともに減少した。当局が品質管理や広告表示・トレーサビリティ規制を強化したことが背景にあり、市場全体がより厳格なコンプライアンス基準へと移行しつつある。 価格帯では10万〜20万ドン(約600〜1,200円)の商品が全取引の約25%を占め最大シェアを誇る。ただし中価格帯・準プレミアム帯が徐々に拡大する一方、100万ドン(約5,700円)超の商品はシェアを落としており、消費者が「コスパ重視」で選別的にアップグレードする傾向が浮かび上がる。市場成熟化で参入障壁が上昇、Q2はGMV微減を予測©︎UnsplashMetricは2026年Q2について、GMV(流通総額)が前四半期比4.3%減の約142兆2,000億ドン( 約8,100億円)に小幅後退すると予測する。販売数量は増加傾向を維持するものの、価格競争の激化と「量は増えるが単価は下がる」トレンドが続くとみられる。出店者の識別義務化・税申告要件・プラットフォーム手数料引き上げなどの政策変更も参入障壁を押し上げており、Q1の受注件数を持つアクティブ出店者数は約49万1,000者と前年比3.9%増にとどまった。GMVの伸び率と比較して明らかに鈍く、市場は新規参入者が利益を出しにくいフェーズに突入しつつある。なおEC・デジタル経済全体の税収は1〜3月で85兆6,000億ドン(約4,875億円)と前年比12%増を記録した。ローカルメモベトナムでは「TikTok見ながら衝動買い」が日常の一部となっており、若い世代を中心にライブコマースが爆発的に広がっている。屋台や市場が根強い一方、スマホさえあれば翌日に商品が届く利便性は圧倒的で、ECへの移行は都市部だけでなく地方でも加速中だ。ただ、急成長の反動として粗悪品や偽造品の流通も社会問題化しており、健康商品への規制強化はその象徴といえる。市場が"量より質"へ向かう今は、信頼性を武器にした日本ブランドの参入チャンスでもある。参考URLThe Investor記事https://theinvestor.vn/vietnams-e-commerce-sales-surge-47-to-564-bln-in-q1-d18994.htmlTOP Image©Unsplash