インドネシアの伝統薬草飲料「ジャム(jamu)」をスキンケアに転用し、米国市場を開拓したのがJuara Beauty(ジュアラ・ビューティー)だ。創業者のMetta Murdaya(メタ・ムルダヤ)氏は2000年代初頭に自宅のキッチンで製品開発をスタートし、2007年に正式ブランドとして立ち上げたという。インドネシアのコスメ市場は2025年に推計35兆6,000億ルピア(約3,140億円)の売上を記録し、年率約4.73%の成長が見込まれるとされる。同ブランドはプレミアムかつ手の届きやすい価格帯のスキンケアラインとして、現在は母国インドネシア市場への参入も模索しているとのこと。ジャムをスーパージュースとして米国に売り込んだ戦略©Unsplash米国への参入当初、Juara Beautyはジャムの認知がほぼゼロだったため、創業者のMurdaya氏はインドネシアという国の説明から始めなければならないほど苦戦したという。転機となったのは2013〜2014年で、米国でグリーンジュースやオーガニックジュースのブームが起きたタイミングだとされる。「ジャムは肌のためのスーパージュースだ」と訴求することでアメリカの消費者の理解を得ることに成功したという。もともと健康増進や治療を目的として飲用されるジャムの天然素材を、現代的なスキンケア製品に再解釈した同社のアプローチは、グローバルなウェルネス潮流にうまく乗ることができたとされる。 当初は全米数百の小規模独立系小売店からスタートし、コスメ業界の参入障壁が低いという米国市場の特性も追い風となったとのこと。一方、母国インドネシアでの展開では、規制対応コストが小規模チームの負担を大きく上回る現実に直面しており、米国からの輸入に依存していた時期には高関税と為替変動にも悩まされたという。今後は現地オペレーションの最適化が課題だとされる。消費者からの支持がブランドを支えた©︎JUARA Beautyブランド初期から、ニキビや湿疹が落ち着いたなどの顧客の声が届き続け、事業継続の原動力となったという。アメリカの消費者からのポジティブなフィードバックが認知の乏しい時代にブランドを下支えしており、草の根的な口コミが今日のプレミアムポジショニングの礎となっているとされる。ローカルメモインドネシアのジャム文化は何世紀もの歴史を持ち、ウコンや生姜など東南アジア固有のハーブを煎じた飲み物として日常に根付いている。日本でも薬膳や発酵飲料への関心が高まる中、こうした「飲む→塗る」の転換発想はK-ビューティー後の次のウェーブとして注目に値する。規制の複雑さという本国市場の壁は、東南アジアで事業展開する日本の食品・化粧品メーカーにとっても他人事ではなく、現地パートナーシップの重要性を改めて示す事例だ。参考URLThe Star記事https://www.thestar.com.my/business/business-news/2026/05/20/juara-pushes-jamu-skincare-into-the-spotlightTOP Image©The Jakarta Post