タイの食農大手Charoen Pokphand Foods(チャロン・ポカパン・フーズ、以下CPF)とベトナムのIT大手FPT Corporation(FPTコーポレーション)が、AIとデジタル技術で食農バリューチェーンを変革する戦略提携の覚書(MoU)を結んだ。2026年5月28日、バンコクで開かれた「タイ・ベトナム経済フォーラム2026」で署名され、両国の首脳も立ち会ったという。対象はCPFの子会社で、ベトナムの飼料・農場・食品(Feed-Farm-Food)を一貫展開するC.P. Vietnam(C.P.ベトナム)。2026年から2028年にかけて、スマート農場やAI画像認識、食品トレーサビリティなどを共同で開発・導入する。両国がそろって食料安全保障と地域競争力の強化を打ち出した点で、関心を集めそうだ。スマート農場でコスト2割減を狙う©︎UnsplashC.P.ベトナムは1993年からベトナムで事業を続け、飼料工場12カ所、食肉処理2カ所、食品加工6カ所と全国の農場網を持つ。今回の提携の背景には、AIを成長の軸に据えるFPTの戦略がある。同社はアジア太平洋で500社以上の技術パートナーを務めてきた実績を持つという。協業範囲は、スマートカメラとAIビジョン、スマート製造、産業用IoT、データ統合、業務知能向けのエージェント型AI、食品の安全とトレーサビリティなど多岐にわたる。試験段階ではモデル農場を設け、運営コストの約2割削減と、100%の食品トレーサビリティを目標に掲げる。将来は契約農家の網を通じて全国へ広げ、ベトナムの農業近代化を後押しする構想だ。「農場から食卓まで」安全を可視化©︎Unsplash消費者にとって最も身近な成果は、食の安全の「見える化」だろう。飼料から農場、食品加工までを一気通貫で追えるようになれば、店頭に並ぶ鶏肉や加工品が、どこでどう作られたかを確認しやすくなりそうだ。新興国では食品偽装や品質への不安が根強いとされる。100%のトレーサビリティは、こうした不安に応える現場視点の取り組みといえる。ローカルメモベトナムの食卓は伝統的に「市場で生きた鶏や新鮮な肉を買う」文化が根強い。だが都市部では共働き世帯が増え、スーパーで包装された安全な肉を選ぶ人が確実に増えている。C.P.ベトナムの製品はその信頼を支える存在だ。AIによる追跡が広がれば、「安いから」ではなく「安心だから」選ぶ消費者がさらに増えるだろう。タイ資本がベトナムの食を高度化する構図は、東南アジアらしい力学である。参考URLBusiness Wire記事https://www.businesswire.com/news/home/20260529529814/en/FPT-and-CP-Partner-to-Advance-AI-Led-Agri-Food-Value-ChainsTOP Image©FPT Corporation