インドネシアの首都ジャカルタで今、中国ブランドの急速な台頭が起きている。Mixue Bingcheng(ミーシュエ・ビンチェン)のミルクティーチェーンやHaidilao(ハイディラオ)の火鍋店、BYD(比亜迪)の電気自動車が街に溢れ、現地の若い消費者の間で「高品質・高コスパ」な選択肢として広く受け入れられつつある。同時に、ガザ問題を巡り米国支持への反発を強める多数派のムスリム若者たちがスターバックスやマクドナルドをボイコットしており、中国ブランドへの支持が一層加速している。2026年4月、New York Timesがジャカルタ現地取材をもとに報道した。中国企業の海外展開と「脱・安物」イメージ©︎Unsplash国内市場で消費者の節約志向が強まる中、中国企業はブラジルやUAEなど世界各地に活路を求めて進出している。若年人口が豊富なインドネシアはその代表的なターゲットだ。Mixueはインドネシア国内だけで2,600店舗以上を展開し、アイスクリーム1個約50セント(約79円)、ミルクティー1杯1.10ドル(約173円)程度という圧倒的な低価格で支持を集める。また同社は2026年3月の香港上場以来、株価がIPO価格の約2倍に急騰。調査会社Momentum Worksによれば、2024年12月時点で中国F&Bブランドは東南アジア全域で6,100店舗超を展開するまでに至った。 中国企業が強みとするのは価格だけではない。自動化による効率的なオペレーションとSNSを活用したデジタルマーケティングも武器であり、現地パートナー探しに時間をかける欧米大手と比べ「とにかく速い」出店スピードが差別化要因となっている。専門家は、こうした動きが従来の「中国製品=安物」というイメージを一変させ、中国のソフトパワー拡大にも貢献していると指摘する。米ブランドボイコットが後押しする消費者シフト©︎Unsplashインドネシアはイスラム教徒が国民の大多数を占める。ガザ攻撃への米国支持に反発した若者の間でスターバックスやマクドナルドへのボイコット運動が広がり、これが中国ブランドへの乗り換えを促す追い風となっている。一方で中国の存在感拡大に懸念がないわけではなく、安価な中国製品の流入による雇用喪失や、歴史的に繰り返されてきた反中感情も根強く残る。ローランド・ベルガーの調査では、インドネシアで国産ブランドを好む消費者比率が2024年の57%から2025年には33%に急低下しており、特に都市部の若い世代でグローバルブランドへの開放性が高まっていることが示されている。ローカルメモジャカルタのモールを歩くと、確かにMixueやHaidilaoの存在感は圧倒的だ。インドネシアのZ世代にとって「チャイニーズブランド=おしゃれでリーズナブル」という認識はすでに定着しつつある。かつて「メイドインチャイナ」は粗悪品の代名詞だったが、SNSやTikTokを通じた洗練されたマーケティングがそのイメージを完全に塗り替えた。日本の食品・飲料メーカーにとっても、価格競争力とデジタル販促を組み合わせた中国勢の戦略は、東南アジア市場進出において参照すべきモデルとなりうる。参考URLNew York Times記事https://www.nytimes.com/2026/04/23/business/china-brands-indonesia.htmlTOP Image©Unsplash