タイ政府は2026年、加工食品・包装食品を対象とした段階的な塩分(ナトリウム)税の導入を進めている。2017年に砂糖税を先行導入した同国が、今度は塩分規制へと政策を拡大する形だ。1食分あたりのナトリウム含有量に応じて税率が決まる仕組みで、まずスナック類を対象に段階的に他カテゴリーへ拡大する方針。タイ国民の平均塩分摂取量は推奨値のほぼ2倍に達しており、高血圧や心臓疾患の増加が深刻な問題となっている。当局は「税収目的ではなく、製品改良を促すことが目的」と強調している。食品メーカーに課せられる改革の難題©︎Unsplash塩分削減は、砂糖削減よりも技術的に難しいとされる。食塩は風味・保存性・食感の三つを同時に担っており、有効な代替素材は今なお限られている。タイ市場に製品を供給するメーカーは、高税率を回避すべくレシピの見直しを迫られる。課税の初期対象はスナック類となる見込みだが、段階的にインスタントラーメンなどの他カテゴリーへも拡大される予定であり、主要製品の大幅な処方変更が必要になる可能性がある。一方でメーカーには猶予期間が設けられる予定であり、段階的な対応が可能とされる。低ナトリウム対応技術や代替フレーバー素材への需要が今後高まると見られ、先行して開発を進めるメーカーにとっては競争優位につながる可能性もある。ASEAN全域に波及する規制の潮流©︎Unsplash砂糖税の先例と同様に、タイの塩分税導入はASEAN各国の政策立案者にとっての規制モデルになると業界関係者は指摘する。東南アジア全域で栄養政策への注目が高まっており、タイの動向を受けて近隣国が追随する可能性は高い。消費者の健康意識も上昇しており、低ナトリウム製品や健康訴求ブランドへの需要拡大は、メーカーにとってビジネスチャンスでもある。ローカルメモタイの食卓にはナムプラー(魚醤)や各種ペーストなど塩分を多く含む調味料が欠かせない。加工食品もその延長線上で高塩分が"おいしさの基準"として定着している面がある。消費者が慣れ親しんだ味を変えることへの抵抗は大きく、減塩製品が受け入れられるかどうかは風味再現の技術力にかかっていると言える。日本のメーカーも減塩ノウハウで協力できる余地は十分あるだろう。参考URLAsia Pacific Food Industry(APFI)記事https://www.apfoodonline.com/industry/thailand-moves-ahead-with-salt-tax-raising-stakes-for-asean-food-manufacturers/TOP Image©Unsplash