Z世代のメンタルヘルス革命 vol.4：心の時代をリードする若者たち1990年代半ばから2010年代初頭にかけて生まれたZ世代は、仕事、生活、ウェルビーリングについて独自の視点を持ち、職場に大きな影響力を発揮している。以前の世代とは異なり、彼らは「デジタルネイティブ」として成長し、常に情報やテクノロジーにふれており、その影響を受けて培われ形作られた彼らの価値観や期待、仕事への取り組み方は、職場文化に大きな変化をもたらしている。Z世代は、単に労働力として職場に参入するだけでなく、むしろそれ自体を再定義しつつあるのだ。伝統的な労働規範への挑戦 Z世代は、仕事が人生の中心であるという従来の考え方に疑問を抱き、それを変えようとしている。彼らの中には「仕事は人生の大切な一部ではあるが、全てではない」という考え方が根強くある。彼らは、仕事とプライベートのバランス（ワークライフバランス）を大切にし、健全な境界線を守れるような働き方を望んでいる。加えて、テロや金融危機、世界的な不安定さなどの影響を受け、常に安全を感じられるわけではない世界に生きていることから、より安心できる環境を求めている。こうした背景が、Z世代の生活全般、特に仕事において安全とウェルビーイングを重視する傾向を強めていると考えられている。Z世代が求める職場ウェルネスの需要要素メンタルヘルス：Z世代はメンタルヘルスの重要性を理解し、自分の”こころ”を大切にできる環境を求めており、そのためには企業が理解とサポートを提供することが不可欠だという認識を持っている。仕事から離れてリフレッシュする時間を大切にする他、セラピーやメンタルヘルスサービスを積極的に利用する傾向があり、メンタルヘルスに配慮した福利厚生を提供する雇用主を高く評価している。メンタルヘルス支援： Z世代は、セラピストへのアクセス、メンタルヘルスデー、ウェルネス手当など、雇用主によるメンタルヘルスサポートを期待している。スティグマ（偏見）のない文化：彼らは、批判されることなくメンタルヘルス休暇を取得できることを望んでいる。周りの目を気にして我慢したり、隠さなくていい環境を求めているのだ。ウェルビーイング： Z世代は、サポートされ、安全で、受け入れられていると感じられる、毒気のない職場環境を求めている。彼らにとって、雇用主が従業員の個々のニーズを理解し、”三者三様”のあり方を認め尊重する姿勢を持っていることは重要なポイントなのだ。柔軟性： Z世代は職場にフレキシビリティー(柔軟性)を求めている。彼らは、リモートワークの選択肢や自分のニーズに合ったスケジュールを好み、ギグエコノミーやフリーランスといったワークスタイルにも前向きである。リモートワークとハイブリッドワーク： Z世代は、リモートワークやハイブリッドワークなど、柔軟な働き方を強く好んでいる。パンデミックの最中に社会人になった人も多く、どこからでも仕事ができることを重視している。多くの人が、少なくとも時々は直接対面で働きたいと考える一方で、勤務地よりも自律性が重視されている傾向が強い。週休3日制：（Z世代の中にはオフィスでの長時間労働よりも個人的な時間を重視し、週4日勤務を交渉している人もいる。生産性は週5日デスクに座っていることと必ずしも関係ないという考えも珍しくない。社会的意識：Z世代は、明確な目的を持ち、その価値観が自分と一致する企業で働きたいと考えており、自分の仕事が、より広範な使命にどのように貢献しているかを知りたいと思っている。社会問題に取り組み、環境に良い影響を与えている企業を支持する傾向が強いのもこの世代の特徴と言える。目的主導の仕事：Z世代はキャリアにおける目的と意味を求めている。価値観の一致：自分の価値観に合致し、社会全体の利益に貢献する企業で働きたいという思いが強い。社会的責任：持続可能性、社会的正義、イノベーションなど、目的意識を持てる仕事に留まる傾向が強い。オーセンティシティ(真実性）とDEI (多様性、公平性、包括性)：真実性と透明性はZ世代にとって重要である。彼らは信頼性のあるブランドを企業やブランドを求めており、また、多様性を重んじ、公平性と、インクルージョン(包括性)、そしてポジティブ(前向き)な職場環境を重視している。企業やブランドがマーケティング・キャンペーンで多様性やインクルージョンをアピールすることはZ世代にとって重要な判断基準となっている。Z 世代は、多様性、公平性、包摂性に関しては、単なる口先だけでなく、具体的な行動と社会的責任に対する真のコミットメントを望んでいる。コアバリュー：Z 世代にとって、多様性は単なる話のネタなどではなく、コアバリューである。彼らは、企業が少数派故に”疎外された声”のための安全な場所を作り、組織のあらゆるレベルでの代表性を向上させることを期待している。倫理的実践：彼らは、製品の品質だけでなく、倫理、慣行、社会的影響に基づいて企業評価を行っている。EAP（Employee Assistance Program：従業員支援プログラム）これらの傾向を受けて、企業や組織も従業員の健康とメンタルヘルスのサポートをますます優先するようになっている。EAPはいまや従業員の福利厚生制度の不可欠な一部となり、大規模組織の約 90% が採用している。EAP自体は新しいものではないが、近年サービスの近代化が進むにつれ、これらのプログラムへの投資は益々増加することが予想されている。現在企業ウェルネス ベンダーの数は180社を超え、それぞれ機能性、デリバリーモデル、コスト、コミュニケーションツール、レポート機能などで差別化を図っている。出典：https://www.myshortlister.com/insights/workplace-wellness-trends-report-2025例えば、リモートチーム向けのウェルネスチェックイン（オンラインで従業員の身体的、精神的健康状態を管理する）や「仮想ウェルネススペース」（リモートワーク環境における心身の健康をサポートするためにデザインされたオンライン空間）が標準となり、従業員がどこで働いていても繋がりを保ち、サポートを提供できるようになると期待されている。参考URLhttps://www.forbes.com/councils/forbesbusinesscouncil/2024/03/20/gen-z-in-the-modern-workplace-mental-health-and-well-being-matters/ https://www.ihire.com/resourcecenter/employer/pages/genz-workforce-report-2024 https://www.theforage.com/blog/basics/gen-z-work-ethic https://hccegalitarian.com/11714/news/how-gen-z-is-redefining-workplace-culture-the-shift-towards-flexibility-mental-health-and-purpose/ https://www.businessinsider.nl/i-have-5-gen-z-children-in-the-workforce-and-they-dont-prioritize-their-careers-it-made-me-rethink-my-life/ https://www.forbes.com/sites/chriswestfall/2024/12/17/gen-zs-dream-job-colleges-embrace-influencer-career-courses/ https://www.myshortlister.com/insights/workplace-wellness-trends-report-2025 https://28holtky.medium.com/virtual-wellness-spaces-607c4df20661